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著者らは、ローレンツ=ミンコフスキー空間においてユークリッド空間の凸面を一般化する「convex-like(凸様)部分多様体」を定義しました。各凸様部分多様体には屋根(roofs)、キャップ(caps)、タワー(towers)と呼ぶ三つの対応構造を付随させ、それらを用いて境界体積の比較に関する定理を示しています。
定義は投影像によって与えられます。像平面が時空的(spacelike)であり、投影方向が時間的(timelike)または光線方向(null)であるような投影を因果的投影(causal projection)と呼びます。そのような任意の因果的投影の下で、部分多様体 Γ の投影が像平面上の有界凸領域の境界となるとき、Γ を凸様と定義します。
屋根は支持平面に相当する概念です。タワーは、光(null)円錐上の一次斉次な支持関数 M^± を用いて定義される一方向きの領域で、面上向き・下向きのタワー Ω^±(M^±) = { x | ⟨x,L⟩ > M^±(L) for all L∈Nullcone^± } の境界をキャップと呼びます。キャップは一般に光線方向に沿った非光滑な境界面であり、任意の時間的投影に対して像平面上への同相写像として投影されます。
構成と解析は支持関数を光円錐上に定める手法に依拠します。特に有界な集合 Γ に対して上・下の支持関数を M^±(L)=inf_{p∈Γ}⟨p,L⟩ と取り、得られる上向き・下向きタワーの交差 Ω(Γ)=Ω^+(Γ)∩Ω^−(Γ) をΓのアコーザル内部(acausal interior)と定めます。凸様なΓの場合、このアコーザル内部は空でありません。
技術的に重要な性質として、キャップは任意の時間的投影に対して像平面への同相写像になること、滑らかで連結な時空的部分多様体(境界無し、n≥3)についてはベクトル値第二基本形式 h に関する非負性条件とある時空的法線場 N の存在が凸様性と同値になること、滑らかな時空的凸性(spacelike-convex)を仮定すれば凸様性が従うこと、などが示されています。また凸様部分多様体はアコーザル(点間に因果関係を持たない)であり、一様に時空的(任意のローレンツ座標で sup_{x≠y∈Γ} |x−y|_E / |x−y|_L < +∞ が成り立つ)であることも示されます。
主定理(体積比較定理)は次のように述べられます。R^{n+1}_1 において凸様部分多様体 Γ1 と Γ2 があり、Γ1 が Γ2 のアコーザル内部に入っているなら、境界の (n−1) 次元体積について V_{n−1}(Γ1) ≤ V_{n−1}(Γ2) が成り立ちます。これはユークリッド空間におけるネストした凸境界で外側の境界体積が大きいという事実のローレンツ的な一般化です。
論文は適用範囲や限界についても明示しています。キャップ法は負の標数が大きい擬ユークリッド空間へは容易には拡張できないとされ、任意の負の標数に対する体積比較は別の手法(幾何的変形や近似)で扱う予定とされています。さらに、ローレンツ=ミンコフスキー幾何では非滑らかな対象の体積を直接定義・測定するのは困難であり、本稿では球面への双リプシッツ写像を構成して体積の連続性などを扱う方法を用いるため、そこは技術的に込み入った部分になっています。また「凸様」「時空的凸性」「essentially cocausal」といった関連する複数の概念は互いに包含関係を課さないことが具体例とともに示され、これらの区別に注意が必要であると述べられています。