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主な結論。有限体 F_q 上のハミング空間 F_q^n について、任意の点対のハミング距離が最大で d となる集合(d‑アンチコード)の総数 |𝒜_q(n,d)| は、固定の q で n→∞ のとき、4 ≤ d ≤ n−1(ただし q=2 かつ d=n−1 を除く)で |𝒜_q(n,d)| = 2^{(1+o(1)) m_q(n,d)} を満たします。ここで m_q(n,d) は直径 ≤ d の最大アンチコードの要素数です。(fact:general_asymp_count)
手法の要点。包含極大な d‑アンチコードは、自分自身の点のうち高々 2d+1 個を中心とするハミング球の共通部分として表せます。つまり包含極大アンチコードは ≤2d+1 個の点で決まります。これを用いて包含極大アンチコードを順序付き点列で符号化し、個数に上界を与えます。一方で、最大アンチコードの任意の部分集合もアンチコードになるため下界 2^{m_q(n,d)} が常に成り立ちます。上界と下界を合わせることで上の漸近等式が得られます。(fact:helly_determines_maximal)(fact:count_maximal_via_ordered_lists)(fact:lower_bound_subsets_maximal)
小さい直径と二値の端点。d ∈ {1,2,3} のときは挙動が異なり、固定 q に対して総数は対数スケールで線型になり |𝒜_q(n,d)| = 2^{Θ_q(n)} です。(fact:small_d_counts) 一方、二値空間の端点 q=2 かつ d=n−1 では挙動が例外的です。F_2^n は 2^{n−1} 個の補集合ペアに分割され、各ペアについて「どちらも選ばない/片方だけ選ぶ」の 3 通りの選択があるため、|𝒜_2(n,n−1)| = 3^{2^{n−1}} となります。最大アンチコードの大きさは m_2(n,n−1)=2^{n−1} であり、したがって log_2 |𝒜_2(n,n−1)| = (log_2 3)·2^{n−1} = (log_2 3)·m_2(n,n−1),すなわち |𝒜_2(n,n−1)| = 2^{(log_2 3) m_2(n,n−1)} となり、一般則とは係数が異なります。(fact:binary_endpoint_exception)
線形アンチコード(部分空間)の数え上げ。線形性を課すと挙動が変わります。支持(support=非ゼロ座標の集合)ごとに分解して数えます。全支持の線形 d‑アンチコードが存在しうる支持サイズは s ≤ ⌊ qd/(q−1) ⌋ であり、これが分解の上限になります。(fact:support_decomposition)(fact:support_bound) その結果、以下が成り立ちます。固定 d のときにはある整数 σ_q(d) が存在して |L_q(n,d)| = Θ_{q,d}(n^{σ_q(d)})(d ≤ σ_q(d) ≤ ⌊ qd/(q−1) ⌋)。特に q > d+1 の場合は σ_q(d)=d。d→∞ かつ d=o(n) のときは |L_q(n,d)| = q^{Θ_q(d^2 + d log_q(n/d))} です。d/n→α∈(0,1) の場合は下界 q^{(α^2/4+o(1)) n^2} と上界 q^{(γ^2/4+o(1)) n^2} があり、ここで γ = min{1,qα/(q−1)} です。さらに n−d=o(n) の近全域では |L_q(n,d)| = q^{(1/4+o(1)) n^2} となります。(fact:linear_count_theorem)
二値での改良下界。q=2 かつ d=⌊αn⌋(0<α<1)の場合、ランダムな生成行列に基づく構成により下界を改善できます。具体的に |L_2(n,d)| ≥ 2^{(φ(α)+o(1)) n^2} が成り立ち、φ(α) はパラメータ最適化で得られる関数です。これにより任意の 0<α<1 に対して従来の α^2/4 指数を厳密に上回る改善が得られます。(fact:random_generator_binary_improvement)
一般と線形の対比。一般のアンチコード総数は、4≤d≤n−1(例外を除く)では最大アンチコードの部分集合を数えることが対数レベルの主項を与えます。包含極大アンチコードはその範囲では対数スケールで無視できる寄与にとどまります。一方、線形性を課すと支持ごとに整理する必要があり、漸近成長は本質的に変わります。(fact:general_vs_linear_contrast)
制約と未解決点。著者らは q≥3 の場合に、検討する直径範囲全体に一様に適用できる安定性(stability)結果を知らないと述べています。これにより超グラフ・コンテナ法を用いる道が難しくなりました。代わりに Alon–Jin–Sudakov のハリー型定理を用いて包含極大アンチコードを制御する手法が採られています(論文の該当箇所を参照)。(fact:missing_stability_q_ge_3)(fact:helly_determines_maximal) また支持上界 s ≤ qd/(q−1) は d→∞ の極限で漸近的に達成可能です。具体的な構成として q 進シンプルックス符号と小さな全支持ブロックを組み合わせる方法が示され、支持サイズが (q/(q−1)+o(1)) d を取れることが報告されています。(fact:support_bound_tightness) 最後に、本稿の漸近は q を固定して n→∞ を取る設定に基づきます。場の大きさ q と直径 d が同時に増大する場合(q=q(n), d=d(n))の厳密な漸近は未解決問題として残されています。(fact:open_problem_q_and_d_grow)
本文では、与えられた結果に基づく主張のみを記載しています。特に「可能性」を「確実性」に変えることはしていません。